必要な書類がそろったら、いよいよ法務局への申請です。
「登記の申請」と聞くと、難しそうに感じるかもしれません。
しかし安心してください。
大変なのは前段の書類集めで、申請そのものの流れは、実はとてもシンプルです。
やることを順番に並べれば、3つのステップに整理できます。
この記事では、登記申請書の作成から、登記が完了して権利を証明する書類を受け取るまでの流れを、ステップごとに解説します。

申請の流れは「3ステップ」
相続登記の申請は、大きく3つのステップに分けられます。
まず全体像を、表で押さえておきましょう。
| ステップ | やること |
|---|---|
| ①申請書の作成 | 登記申請書を自分で作成する(不動産の表示は登記簿どおりに) |
| ②法務局へ提出 | 不動産の所在地を管轄する法務局へ提出する |
| ③審査・完了 | 審査を経て完了。登記識別情報通知を受け取る |
それでは、1つずつ詳しく見ていきましょう。
ステップ①——登記申請書を作成する
申請にあたっては、「登記申請書」という書類を自分で作成します。
ここに記載するのは、対象となる不動産の表示(所在・地番・地目・面積など、登記簿どおりの正確な情報)です。
さらに、登記の目的、誰が相続するのか、課税の基礎となる不動産の価額、そして納める登録免許税の額などを記載します。
書式は、法務局のウェブサイトに記載例が公開されており、それを参考に作成できます。
ここでも、不動産の表示は登記事項証明書どおりに正確に書く必要があります。
この部分を誤ると手続きが滞るため、十分な注意が必要です。
ステップ②——「管轄の」法務局へ提出する
作成した申請書と、集めた添付書類を、その不動産の所在地を管轄する法務局へ提出します。
提出方法は、窓口へ持参する、郵送する、オンラインで申請する、のいずれかです。
ここで、必ず注意したいことがあります。
提出先は「自分が住んでいる場所」ではなく、「不動産がある場所」を管轄する法務局だという点です。
遠方の不動産であれば、郵送やオンラインを活用することになります。
また、複数の市区町村に不動産がある場合は、管轄ごとに申請が必要になることもあります。
ステップ③——審査を経て登記が完了する
申請を受け付けた法務局は、書類に不備がないかを審査します。
もし書類に誤りや不足があれば、補正(訂正)を求められます。
問題がなければ、おおむね1週間から2週間ほどで登記が完了します。
完了すると、新しい所有者に対して「登記識別情報通知」という書類が交付されます。
これは、かつての「権利証」に代わるもので、その不動産の所有者であることを示す、非常に重要な書類です。
完了後は、念のため登記事項証明書を取得し、名義が正しく自分に変わっているかを確認しておくと安心です。
【業界の裏側】 「ただのお知らせ」と思って放置されかけた、超重要書類の話
ご自身で相続登記を済まされたお客様から、後日こんなお話を伺いました。無事に登記が完了し、法務局から1通の書類が郵送で届いたそうです。それが「登記識別情報通知」でした。ところがお客様は、それを役所からの事務的なお知らせだと思い込み、他のダイレクトメールなどと一緒に、しばらく引き出しに放り込んだままにしていたというのです。後になって、私との雑談でその話になり、私は思わず「それ、絶対になくさないでください」とお伝えしました。登記識別情報通知は、かつての権利証にあたるもので、その不動産の所有者であることを証明する、極めて大切な書類です。しかも、紛失しても再発行されません。将来その不動産を売却したり、担保に入れたりするとき、これがないと、本人確認のために余計な手間と費用がかかってしまいます。幸い、お客様の通知は無事に見つかり、今はきちんと保管されています。手続きが終わった安心感から、つい気を抜いてしまいがちですが、最後に届くこの1通こそ、何より大切に扱うべき書類なのです。
不備があれば「補正」、完了後は「保管」を
申請の後、法務局の審査で書類に不備が見つかると、「補正」といって、訂正や追加を求める連絡が入ります。
多くは軽微な訂正で対応できます。
ただし、放置すると申請が取り下げ扱いになることもあるため、連絡が来たら速やかに対応しましょう。
無事に登記が完了したら、交付される登記識別情報通知は、再発行されない非常に重要な書類です。
他の権利証類とともに、大切に保管してください。
また、登記が完了すると、その不動産の固定資産税は、新しい所有者宛てに課税されるようになります。
名義変更は、こうした税や各種通知の宛先にも関わってきます。
完了後に登記事項証明書で結果を確認し、関係する手続きに抜けがないかを点検しておくと万全です。

【営業マン視点】 売却の場面で、その1通が「あるかないか」で大違い
不動産の売却をお手伝いするとき、私が早い段階で確認するものの1つが、「権利証、つまり登記識別情報通知をお持ちですか」という点です。これがきちんと保管されていれば、売却の手続きはスムーズに進みます。ところが、相続のときに登記を済ませたものの、この通知をなくしてしまっているケースが、ときどきあります。その場合、売買のときに「本当に所有者ご本人なのか」を別の方法で証明しなければならず、司法書士による本人確認情報の作成など、追加の手間と費用が発生します。数万円単位の余計な出費になることも珍しくありません。だからこそ、相続登記が完了したら、その通知を「いざ売るときの鍵」と考えて、保管場所を決めておくことをおすすめします。できれば、ご家族にも保管場所を共有しておくと安心です。相続登記は、終わった瞬間がゴールではなく、その後きちんと管理してこそ、本当に「動かせる不動産」になるのです。
まとめ——3ステップで進め、最後の1通を守る
| この記事のポイント |
|---|
| 申請は①申請書の作成→②法務局へ提出→③審査・完了の3ステップ |
| 申請書の不動産の表示は、登記簿どおりに正確に書く |
| 提出先は「不動産がある場所」の法務局。窓口・郵送・オンラインから選べる |
| 完了まで通常1〜2週間。補正の連絡が来たら速やかに対応する |
| 登記識別情報通知は再発行されない超重要書類。なくさず保管する |

宅建士資格保有・不動産業界歴10年以上の現役実務者が監修・運営しています。
売買・法律・税金・開業まで、現場の実務経験をもとに情報を発信しています。



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