建物の相続税評価額|固定資産税評価額をそのまま使う仕組み

不動産の評価額の出し方

土地の評価は、方式の選択や補正があって、なかなか手強いものでした。

それに比べると、建物の評価は、ずっと簡単です。

建物の相続税評価額は、固定資産税評価額を、そのまま使えばよいからです。

新たに計算する必要は、基本的にありません。

ただし、リフォームや未登記建物など、いくつか注意したい落とし穴もあります。

この記事では、建物の評価額の確認のしかたと、見落としがちな注意点を解説します。

ラボ子
建物の評価はカンタン!固定資産税評価額をそのまま使うだけ。計算も補正も不要だよ。ただし、大規模リフォームや“未登記の増築”は見落としやすいから注意。登記されてなくても相続財産だからね!

固定資産税評価額をそのまま使う

建物の相続税評価額は、固定資産税評価額と同額です。

したがって、新たに計算する必要はありません。

固定資産税の納税通知書に記載された建物の評価額や、市区町村で取得する固定資産評価証明書の金額を、そのまま使えばよいのです。

土地のように、方式を選んだり補正をかけたりといった作業は不要です。

複数の建物がある場合は、それぞれの固定資産税評価額を確認し、合計します。

建物の評価は、書類さえ手元にそろえば、ほとんど手間なく済ませられます。

建築費よりも低くなるのが一般的

建物の固定資産税評価額は、実際にかかった建築費よりも、かなり低くなるのが一般的です。

新築の場合でも、建築費の5割から7割程度になることが多くなっています。

さらに、建物は年月が経つにつれて、評価額が下がっていきます(経年による減価)。

古い建物であれば、評価額がごくわずかになっていることも珍しくありません。

このため、現金で持っているよりも、その現金で建物を建てたほうが、相続税の評価上は有利になる、という関係が生まれます。

これも、不動産が相続税対策に使われる理由の1つです。

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リフォームや未登記建物に注意

建物の評価で注意したいのが、固定資産税評価額に正しく反映されていないケースです。

見落としやすいケース ポイント
大規模リフォーム・増改築 価値が上がっていれば、その分を評価に含める必要がある
未登記建物(増築部分など) 登記がなくても相続財産であり、評価の対象になる
複数の建物がある それぞれ確認し、合計する

大規模なリフォームや増改築を行ったのに、それが固定資産税評価額に反映されていない場合があります。

価値を高める改修をしていれば、本来は、その分の価値も評価に含める必要があります。

また、増築した部分が登記されていない「未登記建物」も注意が必要です。

登記簿に載っていなくても、相続財産であることに変わりはなく、評価の対象になります。

こうした見落としは、後の税務調査で指摘されることもあります。

分譲マンションの評価

一戸建てだけでなく、分譲マンションを相続することもあります。

分譲マンションの場合、建物部分は固定資産税評価額で評価します。

土地部分は、マンションの敷地全体の評価額のうち、自分の持分(敷地権の割合)に応じた分を評価します。

1戸あたりの土地の持分は小さいため、戸建てに比べると、土地の評価額は小さくなる傾向があります。

なお、近年は、いわゆるタワーマンションなどで、相続税評価額と実際の市場価格が大きくかけ離れているとして、マンションの評価方法を見直す動きもありました。

マンションを相続した場合の評価は、戸建てとは考え方が異なる部分があります。

判断に迷うときは、専門家に確認すると安心です。

【業界の裏側】 「登記してない離れは、相続財産じゃない」と思っていた話

実家を相続されたお客様の財産を確認していたときのことです。母屋とは別に、庭先に小さな「離れ」が建っていました。お客様にお尋ねすると、「あれは、親が何十年も前に増築したもので、登記はしていないはずです。登記簿にも載っていないから、相続財産には関係ないですよね」とおっしゃいました。これは、よくある誤解です。私は、登記の有無と、相続財産かどうかは別の話だとお伝えしました。登記簿に載っていない「未登記建物」であっても、現に存在し、価値があるなら、それは立派な相続財産です。当然、相続税の評価の対象にもなります。実際、その離れにも固定資産税はかかっており、市区町村は建物の存在を把握していました。もし「登記がないから」と相続財産から外して申告していたら、後の税務調査で指摘され、加算税を含めて課税されていたかもしれません。「登記されていない=存在しないもの」ではありません。増築した離れや倉庫など、登記簿に載っていない建物がないか、現況をよく確認すること——これが、後で慌てないための大切なポイントなのです。

書類と現況が合っているか確認する

建物の評価は、固定資産税評価額を使うだけなので、計算自体はとても簡単です。

だからこそ、つまずきやすいのは「数字を読み間違える」ことではなく、「対象を見落とす」ことです。

リフォームで価値が上がった建物、未登記の増築部分、敷地内の別棟——こうしたものが、書類だけを見ていると抜け落ちがちです。

建物の評価で大切なのは、固定資産評価証明書などの書類と、実際の建物の現況とが、合っているかを確認することです。

書類に載っていない建物はないか、書類の内容と実物がずれていないか。

この確認をしておけば、評価の漏れや誤りを防げます。

判断に迷う部分があれば、税理士に相談しながら進めると確実です。

ラボ子
建物の評価は計算は簡単だけど、つまずくのは「対象の見落とし」!未登記の離れや倉庫も相続財産で評価対象だよ。書類だけ見て満足せず、実際の建物の現況とちゃんと合ってるか、確認するのがコツ!

【営業マン視点】 「評価額ゼロに近い古家」でも、負担はゼロではない

建物は、年月が経つほど評価額が下がっていきます。築年数の古い家だと、相続税の評価額はごくわずか、ほとんどゼロに近いことも珍しくありません。相続税の上では、これは負担が軽くて良いことです。ところが、現場の立場から、もう1つの面をお伝えしておきたいのです。それは、「評価額が低い建物でも、持ち続ける負担はゼロではない」ということです。古い家は、相続税評価額こそ低くても、現実には、誰も住まなければ空き家として傷んでいきます。建物がある限り固定資産税はかかり続け、いざ土地を売ろうとすれば、解体費という大きな出費が待っています。古い木造家屋の解体には、百万円単位の費用がかかることも珍しくありません。つまり、「相続税の評価額が低い=持っていてもラクな財産」ではないのです。私がお客様にお伝えしているのは、「評価額の数字と、持ち続けるコストは、分けて考えてください」ということです。評価額が低い古家ほど、その後どうするか——住むのか、貸すのか、解体して売るのか——を早めに決めておくことが、無駄な負担をためこまない秘訣なのです。

まとめ——数字はそのまま、対象の「見落とし」に注意

この記事のポイント
建物の相続税評価額は固定資産税評価額と同額。新たな計算は不要
評価額は建築費の5〜7割程度で、経年で下がる。現金より有利になりやすい
大規模リフォームや未登記建物は、評価への反映漏れに注意
マンションは建物+敷地権の持分で評価。戸建てと考え方が異なる
評価額が低い古家でも、固定資産税や解体費など持ち続ける負担はある

ラボ子
土地も建物も評価の基本はOK!次は、評価額が「下がる」ケースの話。人に貸している土地や建物は、自由に使えないぶん評価が下がるんだ。次は「貸家・貸地の評価減」を見ていこう!

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✅ 監修者情報
宅建士資格保有・不動産業界歴10年以上の現役実務者が監修・運営しています。
売買・法律・税金・開業まで、現場の実務経験をもとに情報を発信しています。

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