本審査で落ちるケースとは

住宅ローン本審査と決済・引渡し

売買契約を締結した後、買主が取り組む最初の重要な手続きが住宅ローンの本審査です。

事前審査(仮審査)で承認が出ていても、本審査は別の審査であり、通過が保証されているわけではありません。

本審査で落ちてしまうと、ローン特約が有効な期間内であれば手付金を取り戻して契約を解除できますが、それ以降であれば深刻な事態に発展します。

本審査で落ちるケースにはパターンがあり、事前に把握しておくことが重要です。

事前審査後の行動変化

最も多い原因のひとつが、事前審査後の状況変化です。

事前審査から本審査までの間に転職をした、新しいローンやクレジットカードを作った、分割払いや車のローンを組んだといった変化があると、事前審査時点の条件と異なる状況で本審査が行われます。

金融機関は本審査の時点で改めて信用情報を取得するため、事前審査後の行動が審査結果に影響します。

特に、不動産購入直前に高額な車をローン購入してしまうケースは現場でもよくあります。

本人としては「住宅ローンは通っているつもり」で動いていても、金融機関から見ると返済負担率が大きく変わってしまうため、融資条件が悪化したり、最悪の場合は否決になることがあります。

売買契約から本審査の申し込みまでの間は、信用情報に影響する行動を一切慎むことが鉄則です。

担保評価不足による減額・否決

物件の担保評価が融資希望額に届かないケースも起きます。

金融機関は融資を行う際、物件の担保としての価値を独自に評価します。

この評価額が購入価格を下回ることがあり、その場合は「評価額の範囲内での融資」となるため、希望する融資額との差額を自己資金で補填する必要が生じます。

特に、市場価格が高騰している局面では、銀行の評価額が売買価格より低くなることがあります。

また、再建築不可物件や旧耐震基準の物件など、担保評価が低くなりやすい物件では、本審査での融資額が想定を下回るリスクがあります。

評価が厳しくなりやすい物件 理由
再建築不可物件 将来的な流動性・担保価値が低い
旧耐震物件 耐震リスクを考慮される
地方の郊外物件 市場流通性が低い場合がある

ラボ子

事前審査が通っても安心しすぎは禁物です。本審査までは「ローン審査中」という意識で行動することが大切ですね。

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団信審査と健康状態

健康告知による団信の審査落ちも、本審査の否決につながります。

住宅ローンの本審査と団信の審査は同時並行で進みますが、融資審査が通っても団信の審査で問題が生じると、原則として融資が実行できません。

持病がある場合、直近で手術や入院をした場合は、団信の告知書に正確に記載する必要があります。

告知を怠ると後日保険が無効になるリスクがあります。

最近では「ワイド団信」と呼ばれる、持病がある方向けの商品を扱う金融機関も増えていますが、その分金利が上乗せされるケースが一般的です。

自営業者・フリーランスの注意点

また、確定申告の内容が影響するケースも見落としがちです。

自営業者やフリーランスの方が節税目的で所得を低く申告している場合、本審査での収入評価が低くなり、融資可能額が希望額を下回ることがあります。

事前審査では概算の審査にとどまることが多いですが、本審査では確定申告書の実物を提出するため、申告内容が精査されます。

「経費を多く計上して税金を抑える」と「住宅ローン審査で高く評価される」は、必ずしも両立しません。

数年以内に住宅購入を考えている場合は、節税だけではなく「金融機関からどう見えるか」も意識した申告が重要になります。

本審査はスケジュール管理も重要

本審査の結果が出るまでの期間は、金融機関によって異なりますが、一般的に1〜3週間程度かかります。

物件引渡しの日程から逆算して、本審査の申し込みを早めに行うことが重要です。

本審査通過後に金消契約(金銭消費貸借契約)を結び、融資実行日(決済日)を迎えるという流れになるため、スケジュール管理が求められます。

特に繁忙期は金融機関の審査が混み合い、通常より時間がかかることがあります。

売主・仲介会社・金融機関・司法書士など、多くの関係者が動くため、「まだ大丈夫だろう」という感覚で動くと、決済日直前で慌てることになりやすい。

住宅購入では、スケジュール管理そのものも重要な実務のひとつです。

ラボ子

本審査は「書類を出せば終わり」ではなく、決済日まで含めた段取り管理が大切です。

まとめ

住宅ローンの本審査は、事前審査とは異なり、収入・信用情報・担保評価・健康状態まで含めて詳細に確認されます。

特に、事前審査後の行動変化や、新たな借り入れ、転職などは大きなリスクになります。

また、物件の担保評価や団信審査によって、想定通りに融資が進まないケースもあります。

本審査は「通る前提」で考えるのではなく、「落ちる可能性もある」という前提で慎重に進めることが重要です。

住宅購入では、物件選びだけでなく、金融機関との手続きやスケジュール管理も含めて実務の一部であることを理解しておく必要があります。

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