査定をして、説明もしたのに、なぜか媒介が取れない。この悩みは開業直後の営業が必ず直面する壁です。
現場ではよく、「良い提案をしたのに他社に負けた」「価格も悪くなかったのに決まらなかった」という声を聞きます。しかし、その多くは提案内容ではなく、“取り方”の問題です。
媒介契約は、最後にサインをもらう行為ではありません。査定の段階からすでに始まっており、説明、ヒアリング、提案のすべてが積み重なった結果として成立します。
つまり、媒介は“取りにいくもの”ではなく、“自然に選ばれる状態を作るもの”です。
ここを勘違いすると、最後に無理に押したり、価格で勝負したりしてしまいます。その結果、無理な条件で媒介を取り、後で苦しくなります。
逆に、正しい流れを理解していれば、強く営業をかけなくても媒介は取れます。
媒介契約の取り方とは、クロージングの技術ではなく、「信頼と納得の設計」です。この構造を理解することが、安定した営業の第一歩になります。
媒介って、最後に取りにいくものじゃないんだよね。
査定の時点で、もうほぼ決まってる。
選ばれる流れを作れてるか、それだけ。
■ 媒介は「最後にお願いする」のではなく「途中で決まる」
媒介契約が取れるかどうかは、最後の一言では決まりません。
査定から説明の流れの中で、ほぼ決まっています。
多くの営業は、最後にこう言います。
・ぜひ弊社にお任せください
・ご検討ください
しかし、この時点で勝負が決まっていない状態は、ほぼ負けています。
なぜなら、売主の中で比較が終わっていないからです。
媒介を取るためにやるべきことは、途中で「この会社に任せる理由」を作ることです。
具体的には、
・判断基準を提示する
・選択肢を整理する
・リスクまで説明する
この3つを行うことで、
売主の中で「この人が一番わかりやすい」「この提案が一番納得できる」という状態が生まれます。
この状態になれば、最後のクロージングはシンプルです。
・この方向で進めましょう
これだけで成立します。
媒介は、押して取るものではなく、「決まっている状態を作るもの」です。
■ 媒介取得がうまくいく営業の構造
媒介取得が安定している営業には共通点があります。
それは、「比較の主導権を握っている」ことです。
売主は複数社に査定を依頼します。
このとき、
・価格で比較される営業
・内容で比較される営業
に分かれます。
価格で比較されると、
・高い会社
・印象の良い会社
が選ばれます。
一方で、内容で比較されると、
・説明がわかりやすい
・戦略が明確
・リスクも説明している
営業が選ばれます。
この違いは、説明の設計です。
例えば、
・なぜ価格が違うのか
・どの戦略が適しているのか
・どのリスクがあるのか
を整理して説明すると、売主は「比較できる状態」になります。
この状態を作れる営業は、価格競争から外れます。
つまり媒介取得とは、
「価格で勝つこと」ではなく「比較軸を変えること」です。
■ 媒介率30%から80%に改善したクロージング設計
ある営業は、査定件数はあるものの、媒介取得率が30%前後で停滞していました。
原因は明確で、最後に「ご検討ください」で終わっていたことです。
つまり、判断を売主に丸投げしていました。
そこで流れを変えました。
1.売却の優先順位を明確化
2.3つの戦略を提示
3.売主と一緒に選ぶ
4.その場で方向性を決定
この形に変更しました。
例えば、
・早く売るならこの価格
・バランスならこの価格
・チャレンジならこの価格
と提示し、
・どれが一番ご希望に近いですか
と確認します。
ここで選ばれた方向に対して、
・ではこの内容で進めましょう
と進めます。
この変更だけで、
・媒介率30% → 80%
・値下げ率も減少
という結果になりました。
ポイントは、「決めてもらう」のではなく、「一緒に決める」ことです。
この違いが、媒介取得率を大きく変えます。
■ 実務の流れ
媒介契約までの流れは以下の通りです。
| 工程 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ① 事前準備 | 査定資料・事例・価格帯を整理 | 準備の質がそのまま提案力になる |
| ② ヒアリング | 売却理由・希望条件・優先順位を確認 | ここで方向性が決まる |
| ③ 市場説明 | 相場レンジと現在の市場状況を説明 | 納得のベースを作る |
| ④ 戦略提示 | 価格+販売期間をセットで複数提示 | 「選べる状態」を作る |
| ⑤ 比較整理 | 各戦略のメリット・デメリットを説明 | 判断しやすく整理する |
| ⑥ 選択 | 売主に方向性を選んでもらう | 納得して決める状態を作る |
| ⑦ クロージング | 選択内容を前提に媒介契約へ進む | 流れで自然に契約へつなげる |
この流れを徹底することで、媒介取得は安定します。
■ 実務メモ
・媒介は最後ではなく途中で決まる
・必ず複数の戦略を提示する
・売主と一緒に決める形を作る
・価格ではなく納得で選ばせる
・クロージングはシンプルにする
■ よくある失敗
最も多いのは、「ご検討ください」で終わることです。
これは一見丁寧ですが、実務では弱い対応です。判断を売主に委ねると、他社との比較に負けやすくなります。
次に多いのが、押しすぎることです。
無理に契約を迫ると、その場では取れても、その後の関係が崩れます。
また、価格だけで勝負するのも失敗です。
高値査定で媒介を取っても、売れなければ意味がありません。
回避するためには、
・判断軸を提示する
・一緒に決める流れを作る
・最後はシンプルにまとめる
この3点を徹底することです。
「ご検討ください」で終わると、だいたい負けるよ。
決まる人は、その場で一緒に方向を決めてる。
最後はシンプルにまとめる、それだけ。
■ まとめ
媒介契約は、営業の結果ではなく、営業のプロセスそのものです。最後にどう言うかではなく、そこに至るまでにどれだけ納得を積み上げられたかで決まります。
価格で選ばれる営業は不安定ですが、納得で選ばれる営業は安定します。その違いは、説明と流れの設計にあります。
売主に判断を丸投げするのではなく、判断できる状態を作り、一緒に方向性を決める。このスタイルに変えることで、媒介取得は大きく変わります。
媒介を取りにいくのではなく、「任せたくなる状態を作る」。この意識が、営業を一段引き上げます。
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