不動産は、強い人が勝つ仕事ではありません。勝てる場所にいる人が勝つ仕事です。どこで戦うかを間違えると、どれだけ努力しても結果は出ません。
開業前に多くの人が考えるのは、「どうやって営業すれば売れるのか」という点です。
しかし現場で結果を出している業者ほど、この発想をしていません。
彼らが考えているのは、「どこで戦えば勝てるのか」です。
同じエリアで、同じように営業しているのに、なぜか案件が集まる業者と、全く成果が出ない業者がいます。この差は努力量ではありません。
「ポジション取り」です。
例えば、大手仲介会社と同じ土俵で一般の売却案件を取りに行っても、知名度、広告費、実績で勝つことは難しいです。一方で、特定の分野に特化している業者は、広告をほとんど使わずに安定して案件を獲得しています。
つまり、不動産業においては「強い人が勝つ」のではなく、「勝てる場所にいる人が勝つ」構造です。
この章では、その「勝てる場所」の作り方を、実務ベースで解説します。
■競争を避け「勝てる領域」にポジションを固定する
不動産業で安定して勝つために必要なのは、競争に勝つことではありません。
競争そのものを避けることです。
具体的には、「誰もやりたがらないが需要がある領域」にポジションを固定します。
多くの人は、需要が多い市場に参入しようとします。例えば、一般的な戸建やマンションの売却です。しかしこの領域は競争が激しく、大手業者と直接戦うことになります。
一方で、
・再建築不可
・底地
・共有持分
・相続絡みの複雑案件
このような領域は、扱いが難しいため参入者が少ないです。
しかし需要は確実に存在します。
この「需要はあるが供給が少ない領域」に入ることで、一気に競争が減ります。
そして重要なのは、「その領域で一番になること」です。
広く浅くではなく、狭く深く。
これがポジション戦略の基本です。
■ 不動産市場は「専門性×供給不足」で価格と案件が決まる構造
不動産市場は単純なようでいて、実は明確な構造があります。
それは、「専門性が高く、扱える人が少ないほど案件が集まる」という構造です。
一般的な物件は、多くの業者が扱えます。そのため競争が激しく、価格も下がりやすいです。
一方で、専門性が必要な案件は違います。
例えば再建築不可物件は、建築基準法の理解が必要です。底地は借地借家法の理解が必要です。共有持分は権利関係の整理が必要です。
これらの案件は、扱える人が限られます。
結果として、
・競合が少ない
・価格交渉が有利
・紹介が集中する
という状態になります。
つまり、勝てるポジションとは、「専門性によって参入障壁を作った状態」です。
ここに入ることができれば、営業を頑張らなくても案件は集まります。
■再建築不可特化で年間12件成約と手数料単価の向上
実際の現場での具体例を紹介します。
ある開業者は、最初は一般的な売却案件を狙っていました。しかし、大手業者との競争に勝てず、3ヶ月間で成約は1件のみでした。
そこで戦略を変更し、「再建築不可」に特化しました。
まず、
・建築基準法の接道義務を理解
・再建築不可の判断基準を習得
・買取業者とのネットワークを構築
この3点を徹底しました。
さらに、
・査定は即日対応
・価格提示を明確化
・リスク説明を丁寧に行う
これを継続しました。
結果として、
・年間12件の成約
・1件あたり50万円から100万円の手数料
・紹介案件が増加
という状態になりました。
また別のケースでは、「底地」に特化した業者がいます。
底地は権利関係が複雑で敬遠されがちですが、その分競争が少ない領域です。
この業者は、
・借地人との交渉ノウハウを蓄積
・投資家ネットワークを構築
したことで、
・月2件から3件の案件
・高単価の取引
を安定的に作っています。
共通しているのは、「勝てる場所に移動したこと」です。
■ ポイント
案件は「営業量」ではなく「設計」で決まります。
この設計ができていない状態で動くと、どれだけ頑張っても結果は出ません。
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詳細を見る■実務の流れ
勝てるポジションを作るための手順は明確です。
まず、「市場を分析」します。どの領域に競争が集中しているか、どこに供給不足があるかを把握します。
次に、「ターゲット領域を1つ決める」ことです。再建築不可、底地、相続など、自分が攻める分野を明確にします。
その後、「知識と実務を集中して習得」します。法律、査定方法、交渉方法などを深く理解します。
並行して、「関係者との接点を作る」ことです。買取業者、司法書士、税理士などに、自分の専門性を伝えます。
そして、「案件対応を積み重ねる」ことで実績を作ります。
最初の数件は時間がかかりますが、この実績が紹介につながります。
この流れを繰り返すことで、ポジションは固定されます。
■実務メモ
・競争が激しい領域には入らない
・需要があり供給が少ない分野を狙う
・専門性は1つに絞る
・最初の数件で実績を作る
・紹介される領域を明確にする
■ よくある失敗
最も多いのは、「広くやろうとすること」です。
すべての案件を取りに行こうとすると、結果としてどの分野でも中途半端になります。これではポジションは確立されません。
次に多いのは、「需要だけで判断すること」です。
需要が多いからといって参入すると、競争が激しく勝てない領域に入ってしまいます。
さらに、「専門性を作らない」ことも大きな問題です。
知識が浅いままでは、難しい案件に対応できず、結果として信頼を得られません。
これらを防ぐためには、
・領域を絞る
・深く学ぶ
・実績を積む
この3つを徹底する必要があります。
■まとめ
勝てるポジションとは、「競争に勝つ場所」ではなく「競争しなくていい場所」です。
需要があり、供給が少なく、専門性が必要な領域に入ることで、不動産業は一気に楽になります。
重要なのは、どこで戦うかです。
広く浅くではなく、狭く深く。
この戦略を取ることで、案件は自然と集まり、価格交渉も有利になり、紹介も増えていきます。
開業前にこのポジションを決めることができれば、その後の成長スピードは大きく変わります。
勝つために努力するのではなく、勝てる場所に立つ。
これが、不動産業で安定して結果を出すための本質です。
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これを防ぐためには、開業初期から「会計管理」を仕組み化することが必須です。



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