財産目録の作り方|プラスとマイナスの財産を一覧化する

相続が発生したら最初にやること

不動産・預貯金・借金——相続が始まると、調べることが次から次へと出てきます。

1つずつ調べているうちに、「結局、うちの相続財産は全部でいくらなのか」「プラスとマイナス、どちらが大きいのか」が分からなくなりがちです。

そこで役立つのが「財産目録」です。

財産目録とは、プラスの財産とマイナスの財産を1枚の表にまとめたもの。

これがあるかないかで、相続するか放棄するかの判断も、遺産分割の話し合いも、進めやすさが大きく変わります。

この記事では、財産目録の役割と、書き出す項目、そして「完璧を目指さずにまず作る」ためのコツを解説します。

ラボ子
財産目録は、相続の「設計図」みたいなもの。プラスとマイナスを並べて見える化するだけで、放棄するか・税金がかかるか・どう分けるかの判断が一気にラクになるんだ。完璧じゃなくていいから、まず作ってみよう!

財産目録は相続の判断を支える「設計図」

財産調査を進めて、プラスの財産とマイナスの財産が見えてきたら、それらを1枚の表にまとめます。

これが「財産目録」です。

財産目録は、それ自体が何かの手続きというわけではありません。

しかし、相続をめぐるその後の判断のほとんどが、この1枚を土台にして進んでいきます。

具体的には、次の3つの場面で土台になります。

1つ目は、相続するか放棄するかの判断です。

2つ目は、相続税がかかりそうかどうかの見積もりです。

3つ目は、遺産分割——誰が何を引き継ぐかの話し合いです。

どれも、財産の全体像が見えていなければ判断できないものばかりです。

だからこそ、財産目録は相続の「設計図」と呼べる存在なのです。

財産目録に書き出す項目——プラスとマイナスを1枚に

財産目録には、決まった様式があるわけではありません。

手書きの一覧でも、表計算ソフトでもかまいません。

大切なのは、すべてを1ヶ所に集めて「見える化」することです。

書き出す項目は、大きくプラスの財産とマイナスの財産に分かれます。

区分 書き出すもの メモする内容
プラスの財産 不動産 所在地・種類・おおよその評価額
預貯金 金融機関名・支店・残高
有価証券・生命保険・その他 銘柄・保険会社・おおよその額
マイナスの財産 住宅ローン・借入金 借入先・残高
未払いの税金・医療費 支払先・金額
連帯保証債務 保証先・金額(判明している範囲)

それぞれにおおよその金額を添えておくと、全体でプラスとマイナスのどちらが大きいのかが一目で分かります。

項目をきれいに埋めることよりも、まず「全部を一覧に並べる」ことを優先しましょう。

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①プラスの財産を書き出す

まずは、引き継ぐとプラスになる財産から書き出していきます。

代表的なのは、不動産・預貯金・有価証券・生命保険、そしてその他の財産です。

不動産は、所在地と種類、そしておおよその評価額をメモしておきます。

預貯金は、金融機関名と残高を記入します。

この段階でプラスの財産を合計してみると、もう1つ見えてくるものがあります。

財産の総額が、相続税の基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超えそうかどうか、という当たりです。

超えそうな場合は、相続税の申告が必要になる可能性が出てきます。

不動産を含めて総額が大きくなりそうなときは、早めに税理士に相談しておくと、評価や申告の見通しが立てやすくなります。

②マイナスの財産こそ、漏らさず書く

財産目録で見落としやすく、しかし最も重要なのが、マイナスの財産です。

住宅ローンや借入金、未払いの税金や医療費、そして連帯保証債務などがこれにあたります。

とくに連帯保証は、契約書や通知が手元に残っていないことも多く、見つけにくいマイナス財産です。

マイナスの財産が大切なのは、相続するか放棄するかの判断を左右するからです。

プラスとマイナスを並べた結果、借金のほうが大きいと分かれば、相続放棄という選択肢が視野に入ります。

そして相続放棄には、相続を知ったときから3ヶ月という期限があります。

マイナスの把握が遅れると、この判断そのものが間に合わなくなることもあるのです。

だからこそ、プラスの財産以上に、マイナスの財産を急いで洗い出す意識が大切になります。

【業界の裏側】 1枚の財産目録が、兄弟の「疑心暗鬼」を解いた

お父様を亡くされた、3人兄弟のご家族の話です。親と同居していた長男が、預金通帳や不動産の書類をすべて管理していたため、遠方に住む弟さん2人の間で、いつの間にか「兄が財産を隠しているのではないか」という空気が生まれていました。話し合いは始まる前から、どこかぎくしゃくしていたのです。そこで私がお勧めしたのが、長男が把握している財産を、ひとまず1枚の財産目録にまとめて全員に配ることでした。不動産はどこに何があり、評価額はおおよそいくらか。預金はどの口座にいくらあるか。住宅ローンの残りはいくらか。それをすべて見える化して共有しただけで、弟さんたちの疑念は驚くほどあっさり解けました。後で振り返ると、疑心暗鬼の正体は「兄が悪い」ことではなく、「何があるのか誰も全体を知らない」ことだったのです。財産を隠しているのではという疑念は、たいてい情報が共有されていないところから生まれます。同じ目録を全員が見ながら話す——これだけで、争いの入り口の多くは閉じられるのです。

③評価額は「おおよそ」で構わない

財産目録を作るとき、「不動産の評価額をいくらと書けばいいのか」で手が止まる人は少なくありません。

結論から言えば、この段階では正確な金額にこだわる必要はありません。

土地であれば、固定資産税の納税通知書に載っている評価額や、おおよその実勢価格を記入しておけば十分です。

建物であれば、固定資産税評価額をそのまま目安にできます。

相続税がかかるかどうかの正式な判断には、より正確な「相続税評価額」が必要になります。

ただし、その算出方法は別の記事でくわしく扱います。

初動で作る財産目録は、あくまで全体像をつかみ、放棄するかどうかを判断するためのものです。

細かな金額の正確さよりも、プラスとマイナスのおおまかなバランスが見えることのほうが、この段階でははるかに重要です。

完成度を求めて手が止まるくらいなら、ざっくりとでも全体を可視化することを優先しましょう。

ラボ子
評価額で悩んで止まっちゃう人、すごく多いんだ。でも初動の目録は「ざっくり全体像」が目的。正確な相続税評価額は後でいいから、まずは固定資産税評価額でサクッと埋めちゃおう!

【営業マン視点】 「完璧に作ってから持ってきます」と言う人ほど、動きが止まる

相続のご相談を受けていて、よく感じることがあります。それは、財産目録を「完璧に作ってから相談しよう」と考える方ほど、なかなか前に進めないということです。すべての通帳を集め、すべての不動産の正確な評価額を調べ、借金も一円残らず確定させてから——と意気込むうちに、何ヶ月も経ってしまう。その間に、相続放棄の3ヶ月の期限が静かに近づいてきます。私がいつもお伝えするのは、「6割でいいので、まず1枚作って持ってきてください」ということです。分かっている範囲で並べた目録があれば、専門家もそれを見て「ここが抜けていますね」「この借金は確認が必要です」と的確に助言できます。つまり、目録は完成させてから使うものではなく、作りながら調査を前に進めるための道具なのです。空欄だらけで構いません。書き始めた瞬間から、相続は動き出します。

まとめ——完璧を目指さず、まず1枚にまとめる

この記事のポイント
財産目録は、放棄判断・相続税・遺産分割すべての土台になる「設計図」
プラスとマイナスの財産を1枚にまとめ、全体のバランスを見える化する
連帯保証など、マイナスの財産こそ漏らさず急いで洗い出す
不動産の評価額は固定資産税評価額など「おおよそ」で構わない
完璧を待たず、分かった範囲でまず作り、判明するたびに書き足す

ラボ子
財産目録でプラスとマイナスが見えたら、次はいよいよ「相続するか・放棄するか」の判断。期限は3ヶ月だから、限定承認との違いも含めて次の記事でしっかり押さえておこう!

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✅ 監修者情報
宅建士資格保有・不動産業界歴10年以上の現役実務者が監修・運営しています。
売買・法律・税金・開業まで、現場の実務経験をもとに情報を発信しています。

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