相続不動産の権利関係の調べ方|登記簿・名寄帳の取り方

相続が発生したら最初にやること

相続財産の中で、最も金額が大きく、そして調査に注意を要するのが不動産です。

不動産の調査は、預貯金のように「残高を確認すれば終わり」というわけにはいきません。

「どこに、どんな不動産が、誰の名義で、どんな状態であるのか」を、複数の書類を突き合わせて確認していく必要があります。

しかも、固定資産税の通知書だけを頼りにすると、私道や先代名義の土地など、大事な不動産を見落とすことがあります。

ここを丁寧にやっておくことが、後の名義変更や遺産分割をスムーズにします。

この記事では、不動産の権利関係を調べる「3つの書類」と、その取り方・見落としを防ぐコツを解説します。

ラボ子
不動産は「書類を重ねて」やっと全体像が見える財産なんだ。通知書・名寄帳・登記事項証明書の3点セットがカギ。私道や祖父名義の土地は特に見落としやすいよ!

不動産は「残高確認」では済まない

預貯金なら、残高証明書を取れば「いくらあるか」がすぐに分かります。

しかし不動産は、そう単純ではありません。

同じ「土地」でも、所在地、面積、名義、担保の有無、隣地との関係——確認すべき項目がいくつもあります。

しかも、それぞれの情報は、別々の書類に分かれて記録されています。

そのため、複数の書類を取り寄せ、突き合わせて、ようやく1つの不動産の全体像が見えてきます。

手間はかかりますが、ここを省くと、後の名義変更や売却の段階で必ずつまずきます。

急がば回れで、最初に丁寧に押さえておきましょう。

3つの書類で不動産の全体像をつかむ

不動産の調査で使う書類は、主に次の3つです。

書類 分かること 取得先
固定資産税の納税通知書 所有不動産の所在地・評価額の概要 毎年春ごろ郵送(手元)
名寄帳 市区町村内の故人名義の不動産一覧 市区町村の役所
登記事項証明書 名義人・抵当権などの権利関係 法務局

大まかな流れは、「納税通知書でアタリをつけ→名寄帳で漏れをなくし→登記事項証明書で権利を確定する」という3ステップです。

1つずつ、詳しく見ていきましょう。

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①固定資産税の納税通知書から始める

不動産調査の出発点として分かりやすいのが、毎年春ごろに届く固定資産税の納税通知書です。

ここには、故人が所有していた不動産の所在地や評価額が記載されており、何を持っていたかをおおまかに把握できます。

ただし、納税通知書には注意点があります。

非課税の私道や、評価額が低く課税されていない土地などは、通知書に載っていないことがあるのです。

そのため、通知書だけを頼りにすると、一部の不動産を見落とすおそれがあります。

なお、ここに記載されている評価額は、相続税の計算にも関わってきます。

不動産を含めて相続税がかかりそうな場合は、早めに税理士に相談しておくと、評価や申告の見通しが立てやすくなります。

②名寄帳で「持っているものすべて」を洗い出す

納税通知書の見落としを防ぐために役立つのが、「名寄帳(なよせちょう)」です。

名寄帳とは、その市区町村の中で故人名義になっている不動産を一覧にした帳簿で、役所で取得できます。

納税通知書に載らない不動産も含めて確認できるため、その市区町村内の所有不動産を、漏れなく把握するのに有効です。

注意したいのは、名寄帳は市区町村ごとに管理されているという点です。

複数の地域に不動産を持っていた場合は、それぞれの役所で取得する必要があります。

実家のある市と、別荘地のある町、というように分かれているケースでは、両方を当たることになります。

「この地域にも何かあるかもしれない」と心当たりがあれば、その市区町村で名寄帳を取得して確認しておくと安心です。

【業界の裏側】 納税通知書には載っていなかった「私道」と「祖父名義の土地」

実家の売却に向けて、相続の整理を進めていたご家族の話です。当初は、お父様から届いていた固定資産税の納税通知書をもとに、「土地と建物の2つだけ」と考えて手続きを進めていました。ところが、いざ売却の準備で登記をきちんと確認すると、2つの問題が見つかったのです。1つは、その家の前の道が、近隣と共有する「私道」になっていて、しかも非課税のため納税通知書には載っていなかったこと。もう1つは、敷地の一部が、なんと亡き祖父の名義のままだったことです。私道の持分も、祖父名義の土地も、どちらも名義変更が必要な立派な相続財産でした。とくに祖父名義の部分は、過去の相続にさかのぼって関係者を洗い出すことになり、整理に時間がかかりました。納税通知書は便利な出発点ですが、それだけを信じると足をすくわれます。名寄帳と登記で「載っていないもの」まで確認する——この一手間が、後の売却や分割を救うのです。

③登記事項証明書で名義と権利を確認する

所有している不動産が分かったら、法務局で「登記事項証明書」を取得します。

これによって、名義人が誰になっているか、抵当権などの担保が設定されていないかを確認できます。

ここで、名義がまだ祖父母など前の世代のままになっていると判明することもあります。

その場合は、過去の相続もさかのぼって整理する必要が出てきます。

名義が何代も前のままで複雑なときは、早い段階で司法書士に相談すると、整理の見通しが立てやすくなります。

あわせて、土地の形状や隣地との関係を示す「公図」や地積測量図も取得しておくと、後で売却や分割を考える際に役立ちます。

不動産は、こうした書類を1つずつ重ねることで、ようやく全体像が見えてくる財産なのです。

ラボ子
登記を見たら「祖父名義のまま」だった——これ、本当によくあるんだ。そのままだと過去の相続もやり直し。複雑そうなら早めに司法書士さんに頼るのが正解だよ!

【営業マン視点】 「相続するのは実家1軒だけ」と思っていたら、田舎の山林も出てきた

ご相談に来られる方の多くが、「うちが相続する不動産は、住んでいた実家くらいです」とおっしゃいます。ところが、名寄帳や登記をていねいに確認していくと、ご本人も把握していなかった不動産が出てくることが、決して珍しくありません。先祖代々受け継いできた田舎の山林、昔買ったまま忘れられていた別荘地、近隣と共有している私道の持分——。こうした不動産は、固定資産税がほとんどかからず通知が目立たないため、家族の記憶からも抜け落ちていることが多いのです。私が必ずお伝えするのは、「心当たりのある地域があれば、その役所で名寄帳を取ってみましょう」ということ。あとから知らない不動産が出てくると、せっかくまとまった話し合いをやり直すことになりかねません。不動産の調査は、「知っているもの」だけでなく、「忘れているかもしれないもの」まで掘り起こす作業だと考えておくと、抜けがなくなります。

まとめ——3つの書類を重ねて、不動産の全体像をつかむ

この記事のポイント
不動産は「納税通知書→名寄帳→登記事項証明書」の3点で確認する
納税通知書には私道や非課税の土地が載らないことがある
名寄帳は市区町村ごと。複数地域なら各役所で取得する
登記で祖父名義のままと判明したら、過去の相続もさかのぼって整理
私道・先代名義・遠方の山林や別荘地は、とくに見落としやすい

ラボ子
財産も不動産も洗い出せたら、次は全部を1枚にまとめる番。「財産目録の作り方」で、プラスもマイナスも一覧化していこう。判断がぐっとしやすくなるよ!

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✅ 監修者情報
宅建士資格保有・不動産業界歴10年以上の現役実務者が監修・運営しています。
売買・法律・税金・開業まで、現場の実務経験をもとに情報を発信しています。

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