同じ資格を持つ専門家でも、その力量や、相続への精通度、そして人柄や相性には、大きな差があります。
せっかく依頼するのですから、信頼して任せられる相手を選びたいものです。
見るべきは、相続の実績、説明のわかりやすさ、そして相性です。
そして、1人に絞る前に、複数に当たって比べることが、後悔を防ぎます。
「相続に強い」という広告の言葉を、うのみにしてはいけません。
この記事では、後悔しない専門家の選び方を解説します。

相続の実績があるか
最も重要なのが、その専門家が、相続の案件を多く手がけているかどうかです。
たとえば税理士は、会社の決算を専門にする人もいれば、相続税を専門にする人もいます。
評価のテーマで触れたとおり、同じ税理士でも、相続に精通しているかどうかで、不動産の評価の精度が変わり、結果として税額に差が出ることさえあります。
司法書士や弁護士も同様で、相続の実績が豊富な専門家を選ぶことが大切です。
事務所のウェブサイトで、相続を専門に扱っているか、どれくらいの実績があるかを確認するとよいでしょう。
とくに、不動産が関わる相続なら、不動産の評価や売却にも明るい専門家だと安心です。
説明が明確で、相性がよいか
実績と並んで大切なのが、コミュニケーションのとりやすさです。
難しい専門用語ばかりで説明する人ではなく、こちらが理解できるよう、かみ砕いて説明してくれる人を選びましょう。
こちらの質問に、面倒がらずに丁寧に答えてくれるか、親身になって話を聞いてくれるか、といった人柄や相性も重要です。
相続は、ときに長い付き合いになり、家族のデリケートな事情を打ち明けることもあります。
安心して何でも相談できる、信頼関係を築ける相手かどうかを、見極めることが大切です。
どんなに実績があっても、話しづらい相手では、大切な事情を伝えきれず、よい結果につながりません。
複数に当たって比べる
専門家を選ぶ際は、1人に絞り込む前に、複数の専門家に当たって比べてみることをおすすめします。
| 見るポイント | 確認すること |
|---|---|
| 相続の実績 | 年間件数・自分と似た事例の経験があるか |
| 説明のわかりやすさ | かみ砕いて説明し、質問に丁寧に答えるか |
| 相性・人柄 | 何でも相談できる信頼関係を築けるか |
| 不動産への強さ | 評価・売却に明るいか(不動産相続の場合) |
| 複数比較 | 無料相談で複数に当たる・セカンドオピニオン |
多くの事務所が初回の相談を無料で受け付けているので、何人かに相談してみて、説明のわかりやすさや、費用、対応の印象を比較するのです。
知人や金融機関からの紹介は心強いものですが、それだけで決めず、自分の目で確かめることが大切です。
1つの意見に不安があれば、別の専門家の見解を聞く、いわゆるセカンドオピニオンを求めることも、納得のいく選択につながります。
「相続専門」をうたう事務所の見方
近年は、「相続専門」「相続に強い」とうたう事務所が数多くあります。
こうした表示は専門家選びの参考になりますが、言葉だけをうのみにするのは禁物です。
確認したいのは、具体的な実績です。
年間どれくらいの相続案件を扱っているか、自分のケースと似た事例の経験があるか、といった点を、相談の場で尋ねてみるとよいでしょう。
また、不動産が関わる相続では、不動産の評価や売却にも明るいかどうかが重要になります。
誠実な専門家であれば、自分の得意分野と、そうでない分野を、率直に教えてくれます。
広告の言葉ではなく、実際のやり取りの中で、信頼できる相手かどうかを見極める姿勢が大切です。
【業界の裏側】 セカンドオピニオンで、分け方も税額もよくなった話
実家と、少しの預金を相続された、ごきょうだいのケースです。最初に相談された専門家から、こう言われたそうです。「この財産構成では、実家を売って、現金にして分けるしかありませんね」と。ご長男は、生まれ育った実家を、できれば残したいと考えておられました。でも、「専門家がそう言うのだから、仕方ないのか」と、半ばあきらめかけておられたのです。どこか納得できないまま、私のところへ、ご相談に来られました。お話を伺い、私は「もう1人、別の相続に詳しい専門家の意見も、聞いてみませんか」とお勧めしました。いわゆる、セカンドオピニオンです。そして、不動産の評価や特例に強い、相続専門の税理士さんを、ご紹介しました。すると、まったく違う道が見えてきたのです。その税理士さんは、小規模宅地等の特例を使えば相続税を抑えられること、生命保険を活用すれば他のごきょうだいへの代償金を用意できることなどを、丁寧に示してくれました。結果、ご長男は実家を残したまま、他のごきょうだいにも公平に配慮した形で、しかも当初より少ない税額で、相続をまとめることができたのです。最初の1人の意見が、すべてではありません。とくに、大きな決断を迫られたとき、別の専門家の意見を聞くことで、思いがけず良い道が開けることがあります。「セカンドオピニオン」は、医療だけのものではないのです。

【営業マン視点】 「できないこと」を、できないと言える人を選ぶ
信頼できる専門家を見分ける、私なりの、とっておきのポイントをお伝えします。それは、「“できないこと”を、正直に“できない”と言えるかどうか」です。相談に行くと、中には、こちらが安心したいがために、耳ざわりのよいことばかりを言う人がいます。「大丈夫、何でもお任せください」「絶対にうまくいきますよ」——一見、頼もしく聞こえます。ですが、相続に「絶対」はありません。税額も、分け方も、相手の出方も、やってみなければ分からない不確実な要素が、たくさんあります。それなのに、安請け合いする人は、むしろ警戒したほうがいいのです。逆に、私が信頼するのは、こういう専門家です。「このケースは、正直、難しい面もあります。こういうリスクがありますよ」と、都合の悪いことも、きちんと伝えてくれる人。「その分野は、私よりも詳しい専門家がいるので、紹介しますね」と、自分の限界を、率直に認められる人。こうした誠実さのある専門家ほど、いざというとき、本当に頼りになります。良いことしか言わない人ではなく、良いことも悪いことも、フェアに教えてくれる人を選ぶ。この視点は、専門家選びだけでなく、次のテーマで見る、悪質な業者を見抜くうえでも、大切な物差しになります。
まとめ——実績・相性・複数比較で、信頼できる相手を選ぶ
| この記事のポイント |
|---|
| 最重要は相続の実績。年間件数や似た事例の経験を相談の場で確認する |
| 説明がわかりやすく、何でも相談できる相性・人柄かも見極める |
| 無料相談を使って複数に当たり、費用や対応を比較する |
| 不安があればセカンドオピニオンを。別の意見で良い道が開けることも |
| 「相続に強い」の広告をうのみにせず、実際のやり取りで見極める |

宅建士資格保有・不動産業界歴10年以上の現役実務者が監修・運営しています。
売買・法律・税金・開業まで、現場の実務経験をもとに情報を発信しています。


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