空き家を手放そうと「売る」ことを考えても、現実には、買い手がつかない不動産が数多く存在します。
価格を下げても売れない。
それどころか、「タダでいいから引き取ってほしい」と思っても、引き取り手が見つからない。
資産であるはずの不動産が、持つだけで損失を生む「負動産」になってしまう——これは、決して珍しくない現実です。
しかし、あきらめて放置するのが、最も避けるべき対応です。
この記事では、なぜ売れないのか、そしてどう向き合うかを解説します。

なぜ売れないのか
不動産が売れない理由は、さまざまです。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 需要がない地域 | 人口が減り、そもそも買いたい人がいない |
| 再建築不可 | 道路に接しておらず、建物を建て直せない |
| 境界が不明 | 隣地との境界がはっきりせず、買い手が敬遠する |
| 共有のまま | 相続人の意思がまとまらず、決められない |
| 山林・農地 | そもそも取引が成立しにくい |
最も多いのは、人口が減り、需要そのものがない地域にあるケースです。
買いたい人がいなければ、どれだけ価格を下げても売れません。
このほか、再建築不可の土地、境界がはっきりしない土地、共有のままの土地なども、買い手が敬遠します。
タダでも引き取られないことも
こうした不動産は、価格を下げても売れないばかりか、「無料でいいから引き取ってほしい」と思っても、引き取り手が見つからないことすらあります。
なぜなら、引き取った人には、その後の固定資産税や管理の負担がのしかかるからです。
誰だって、負担ばかりで価値のないものを、進んで引き受けたいとは思いません。
資産であるはずの不動産が、持っているだけで損失を生む「負動産」になってしまっている——これが、売れない不動産の厳しい現実です。
財産として相続したものが、実際には負債に近い存在だった、というケースは決して珍しくありません。
「負動産」という言葉の意味
近年、「負動産」という言葉が使われるようになりました。
これは、資産であるはずの不動産が、持っていることでかえって負担を生む、負債のような存在になってしまっている状態を指す言葉です。
価値があるどころか、固定資産税や管理費という出費を生み続け、売ろうにも売れない。
相続したものが、喜べる財産ではなく、頭の痛い重荷だった——そう感じる人が増えているからこそ、この言葉が広まりました。
大切なのは、相続した不動産が負動産になっていないかを冷静に見極めることです。
もしそうなら、抱え込まずに手放す方向で考えましょう。
財産だからと、無条件にありがたがる必要はありません。
それでも、打つ手はある
では、売れない不動産は、もうどうしようもないのでしょうか。
そんなことはありません。
打てる手は、いくつもあります。
| 打てる手 | 内容 |
|---|---|
| 価格設定の見直し | 相場に合った価格に設定し直す |
| 空き家バンク | 自治体が運営する制度に登録する |
| 専門業者に相談 | 空き家や訳あり物件を専門に扱う業者へ |
| 制度の活用 | 相続土地国庫帰属制度・相続放棄などを検討 |
価格設定を見直す、自治体の空き家バンクに登録する、空き家を専門に扱う業者に相談する、そしてこのテーマで見ていく相続土地国庫帰属制度や相続放棄を検討する——こうした手段を組み合わせれば、活路が開けることは少なくありません。
「売れないから仕方ない」とあきらめて放置するのが、最も避けるべき対応です。
【業界の裏側】 「大手に断られた土地」が、専門業者で片づいた話
地方の土地を相続されたお客様が、途方に暮れてご相談に来られました。その土地は、道路にきちんと接しておらず、建物を建て直せない「再建築不可」。しかも、周辺は人口が減り続けている地域でした。お客様は、まず地元の大手不動産会社に売却を相談したそうです。しかし、色よい返事はもらえませんでした。売れる見込みが立たない物件は、一般的な仲介では、なかなか本腰を入れて扱ってもらえないのが実情です。「もう、どうすることもできないのか」と諦めかけておられたお客様に、私は、「一般の仲介ではなく、こうした難しい物件を専門に扱う買取業者に相談してみましょう」とお伝えしました。訳あり物件や、再建築不可の土地などを、専門に買い取っている業者があるのです。そうした業者は、一般には売れない物件でも、独自のノウハウで活用や転売の道を持っています。実際に相談してみると、価格はごくわずかでしたが、その土地を引き取ってもらうことができました。お客様は、「タダでも無理だと思っていた土地から解放された」と、心底ほっとしておられました。「大手に断られた=もう終わり」ではありません。売れない不動産には、それを専門に扱うルートがある。あきらめる前に、専門の窓口を探すこと——これが、負動産を手放す、大切な糸口になるのです。

【営業マン視点】 「財産だから」と抱え込むほど、傷は深くなる
売れない不動産を前にしたお客様が、よくこうおっしゃいます。「でも、一応は財産なんだから、タダ同然で手放すのはもったいない」と。このお気持ちが、実は、負動産を抱え込ませる、いちばんの落とし穴です。私は、正直に申し上げます。「その不動産、本当に財産ですか。負担のほうが大きい負動産になっていませんか」と。売れない土地を、「財産だから」と持ち続ければ、固定資産税と管理費は、毎年出ていき続けます。建物があれば傷み、リスクも増えます。つまり、抱え込めば抱え込むほど、傷は深くなっていくのです。「もったいない」と手放せずにいた結果、10年後、20年後、さらに売りにくくなった物件を、今度はご自身のお子さんに相続させてしまう。負動産の問題を、次の世代に先送りしてしまうケースを、私は数多く見てきました。だからこそ、私はお伝えします。「わずかな金額でも、あるいは多少の費用を払ってでも、手放せるうちに手放すのが、結局はいちばん得なんです」と。負動産は、時間が経つほど手放しにくくなります。「財産」という言葉にとらわれず、負担を断ち切るという発想を持つこと。それが、自分と、次の世代を守ることにつながるのです。
まとめ——負動産は見極めて、あきらめず手放す
| この記事のポイント |
|---|
| 需要のない地域・再建築不可・境界不明・共有・山林農地は売れにくい |
| タダでも引き取り手が見つからず、負担を生む「負動産」になることも |
| 相続した不動産が負動産になっていないか、冷静に見極める |
| 価格見直し・空き家バンク・専門業者・制度活用など打つ手はある |
| 「財産だから」と抱え込まず、手放せるうちに手放す発想を持つ |

宅建士資格保有・不動産業界歴10年以上の現役実務者が監修・運営しています。
売買・法律・税金・開業まで、現場の実務経験をもとに情報を発信しています。


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