ここまでの記事では、地面師詐欺やサブリース崩壊の手口、そしてそれを見抜くための視点を紹介してきた。
しかし、どれだけ注意していても、巧妙な詐欺の被害に遭ってしまう可能性はゼロにはならない。
この記事では、実際に不動産詐欺の被害に遭った、あるいは遭った疑いがある場合に、どこに相談し、何を最初にすべきかを整理する。
初動の速さと正しさが、その後の解決の可能性を大きく左右する。
一人で抱え込まずに、まずはどこかに相談してほしい。
最初にやるべきこと:証拠の保全
被害に気づいたら、まず動揺する前に、手元にある証拠を保全することが重要だ。
契約書、重要事項説明書、やり取りしたメールやメッセージ、振込明細、名刺、相手から渡された書類のコピーなど、手に入るものはすべて保管しておく。
電話でのやり取りがあった場合は、日時と内容をメモに残しておくとよい。
相手とのやり取りを続ける場合は、可能な限り書面やメールなど、記録に残る形式に切り替えることをおすすめする。
感情的になって相手を問い詰めたくなる気持ちは理解できるが、証拠を破棄されたり、相手が姿を消したりするきっかけを作らないよう、冷静な対応を心がけてほしい。
相談先①:警察
詐欺の疑いがある場合は、最寄りの警察署、または都道府県警察本部内の相談窓口に連絡する。
緊急性がない相談は、警察相談専用電話「#9110」を利用できる。事件性が明確な場合は、110番ではなく、まずは相談窓口を通じて手続きを進めるのが一般的だ。
警察に相談する際は、保全しておいた証拠一式を持参すると、その後の対応がスムーズになる。
相談先②:弁護士
金銭の返還請求や、契約の無効・取消しを求める場合は、弁護士への相談が必要になる。
不動産トラブルや詐欺被害に詳しい弁護士を探す場合、各都道府県の弁護士会が設けている法律相談センターを利用できる。
また、経済的な事情で弁護士費用の負担が難しい場合は、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助制度を利用できる可能性がある。収入等の条件を満たせば、無料法律相談や弁護士費用の立て替えといった支援が受けられる。
業界の裏側
弁護士に相談する際は、初回相談の時点で証拠が整理されているかどうかで、その後の見通しの立てやすさが大きく変わる。
時系列に沿って「いつ、誰から、何を言われ、いくら払ったか」をメモにまとめておくだけでも、相談がスムーズに進む。
相談先③:宅地建物取引業に関する行政窓口
相手が宅地建物取引業者として登録されている場合、その業者を監督する都道府県の担当部署(多くは「宅建業指導課」といった名称)に相談することができる。
業者による重要事項説明義務違反や、不当な勧誘行為があった場合、行政指導や処分の対象になる可能性がある。
直接的な金銭の回収にはつながらないケースもあるが、業者の免許番号を確認し、正式な登録業者かどうかをチェックする際にも、この窓口の情報は参考になる。
相談先④:消費生活センター
契約トラブル全般については、消費者ホットライン「188(いやや!)」に電話をすると、最寄りの消費生活センターにつながる。
消費生活センターでは、専門の相談員が状況を整理し、必要に応じて事業者との間に入ってあっせんを行ってくれることがある。
「これは詐欺なのか、単なるトラブルなのか判断がつかない」という段階でも、まず相談してみる価値がある窓口だ。
営業マン視点
「警察に行くほどの話かわからない」と迷って、相談自体をためらう人は多い。
しかし、判断に迷うこと自体は普通のことだ。
どの窓口に行けばいいか分からなければ、まず消費生活センターに電話してみるのが、一番間口の広い入り口になる。
二次被害に注意する
原野商法の記事でも触れたとおり、一度被害に遭った人に対して、「あなたの被害を回復してあげる」と持ちかけてくる二次被害の手口が存在する。
「回収費用として先に着手金が必要」「今なら特別に取り戻せる」といった話には、たとえ藁にもすがりたい気持ちであっても、慎重になってほしい。
正規の弁護士であれば、着手金の説明は明確な契約書に基づいて行われる。曖昧な説明のまま先に金銭を要求してくる相手には、公的な窓口を通じて実在性を確認してから対応することをおすすめする。
だからこそ、まずは公的な窓口という「間違いのない入り口」から始めてほしいな。
まとめ:相談窓口早見表
| 窓口 | 連絡先の目安 | できること |
|---|---|---|
| 警察 | 警察相談専用電話「#9110」/最寄りの警察署 | 刑事事件としての捜査・相談 |
| 弁護士 | 各都道府県弁護士会の法律相談センター/法テラス | 返還請求、契約の無効・取消しの手続き |
| 宅建業の行政窓口 | 各都道府県の宅建業指導担当課 | 業者への行政指導・処分の申立て |
| 消費生活センター | 消費者ホットライン「188」 | 事業者とのあっせん、初期相談 |
ここまで①事件・詐欺のシリーズとして、地面師詐欺やサブリース崩壊の手口、組織が詐欺を止められない構造、そして被害に遭った際の対応までを見てきた。
次は②バブルと崩壊のシリーズで、なぜ日本の不動産市場は熱狂と崩壊を繰り返してきたのか、その構造を見ていく。
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この話には、まだ続きがある。
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地面師詐欺、バブルの狂乱、サブリース崩壊、限界集落と空き家、乱開発される太陽光発電所。
実際に起きた事件をもとに、その正体を体系的にまとめている。
宅建士資格保有・不動産業界歴10年以上の現役実務者が監修・運営しています。
売買・法律・税金・開業まで、現場の実務経験をもとに情報を発信しています。

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