空き家や負動産の問題は、1人で抱え込もうとすると、なかなか解決の糸口が見つかりません。
しかし、世の中には、こうした問題に対応してくれる窓口や専門家が、いくつもあります。
自治体、専門業者、そして専門家——。
それぞれが、違った形で力になってくれます。
使える力を上手に借りることが、解決への近道です。
この記事では、空き家の相談先を整理し、それぞれの活用法を解説します。

相談先は「3つ」に分けて考える
空き家の相談先は、大きく3つに分けると整理しやすくなります。
| 相談先 | 頼れること |
|---|---|
| 自治体 | 空き家バンク・補助制度・相談窓口の案内 |
| 専門業者 | 空き家の管理・買取や引き取り |
| 専門家 | 手続き・売却・法律問題などの相談 |
それぞれ、得意とする分野が違います。
自分の困りごとに合った相手を選ぶことで、解決が早まります。
自治体の空き家バンク・補助制度
多くの自治体が、「空き家バンク」という仕組みを設けています。
これは、空き家を売りたい・貸したい人と、空き家を探している人とを引き合わせる、自治体の窓口です。
一般の不動産市場では買い手がつきにくい物件でも、地方への移住を希望する人などとつながり、思わぬ形で活用の道が開けることがあります。
また、前に触れた解体の補助金のように、自治体が独自に空き家対策の支援制度を用意していることもあります。
まずは、その不動産がある市区町村の窓口に相談してみる価値は十分にあります。
専門業者の活用
民間の専門業者を活用する方法もあります。
たとえば、遠方の空き家を定期的に見回り、換気や掃除をしてくれる空き家管理サービスは、すぐに手放せない場合の劣化を防ぐのに役立ちます。
また、一般の市場では売れない不動産を買い取ったり、引き取ったりする業者も存在します。
ただし、こうした業者の中には、高額な費用を請求する悪質なものも紛れています。
「無料で引き取る」とうたいながら、法外な手数料を求めるような業者には、注意が必要です。
信頼できる業者の見分け方や、避けるべき業者の特徴については、専門家と悪質業者を扱う別のテーマで、詳しく取り上げます。
専門家への相談・ワンストップ窓口
手続きや判断に迷うときは、専門家の力を借りましょう。
相談内容によって、適した専門家は変わります。
| 相談内容 | 適した専門家 |
|---|---|
| 国庫帰属制度の申請 | 司法書士・行政書士 |
| 売却・活用 | 不動産会社 |
| 相続放棄・相続人間の争い | 弁護士 |
| 相続税 | 税理士 |
最近は、これらの専門家が連携して、空き家・負動産の問題にワンストップで対応してくれる窓口も増えてきました。
負動産の問題は、複数の分野の知識が必要になることが多いため、適切な専門家にたどり着くことが、解決の大きな一歩になります。
【業界の裏側】 「誰に聞けばいいか分からない」——窓口に行っただけで動き出した話
相続した実家の空き家を、何年も持て余しておられたお客様がいました。「どうにかしたいとは思うけれど、そもそも、こういうことは誰に相談すればいいのか、まったく分からなくて」と、動けないまま時間だけが過ぎていたのです。空き家問題でいちばんつらいのは、この「相談相手が分からない」という状態かもしれません。売却なら不動産会社、放棄なら弁護士、国庫帰属なら司法書士——と、問題ごとに専門家は違います。でも、自分の困りごとが、そもそもどの分野なのかが分からないと、その入り口にすら立てないのです。私は、お客様に「まずは、その家がある市の空き家の相談窓口に、電話してみてください」とお伝えしました。半信半疑ながら連絡されたお客様は、驚いておられました。窓口の担当者が、丁寧に話を聞いたうえで、空き家バンクへの登録を案内し、必要なら相談できる専門家まで教えてくれたのです。「1本の電話で、こんなに道が開けるとは思わなかった」と。何年も止まっていた状況が、たった一度、窓口に相談しただけで、動き始めたのです。完璧な相談相手を、最初から探す必要はありません。まず、どこかの窓口に相談してみる。その小さな一歩が、止まっていた歯車を回し始めるのです。
まず窓口を見つける——1人で抱え込まない
空き家や負動産の問題でつらいのは、「そもそも誰に相談すればいいのかわからない」という点かもしれません。
そんなときは、入り口として、その不動産がある市区町村の窓口や、最寄りの法務局の相談窓口を訪ねてみるのが確実です。
自治体は空き家対策の相談に応じており、必要に応じて適切な専門家や制度を案内してくれます。
また、各地の司法書士会や弁護士会なども、相続に関する無料相談会を開いていることがあります。
最初の一歩は、完璧な相手を探すことではなく、とにかくどこかの窓口に相談してみることです。
話すうちに、自分の取るべき道筋が、少しずつ見えてきます。
1人で抱え込まないことが、何よりの解決策です。

【営業マン視点】 空き家は「餅は餅屋」。1人にすべては頼れない
空き家や負動産の問題を扱ってきて、つくづく思うのは、「これは、1人の専門家だけでは、まず解決できない」ということです。たとえば、私は不動産の専門家ですから、その空き家を売る、貸す、といった相談には、しっかりお応えできます。しかし、相続放棄をすべきかどうかは、弁護士の領域です。相続税がいくらかかるかは、税理士の領域。国庫帰属制度の申請は、司法書士や行政書士の領域です。空き家の問題は、こうした複数の分野が、複雑にからみ合っています。だからこそ、「餅は餅屋」で、それぞれの専門家が連携することが欠かせません。私自身、お客様のご相談を受けたとき、自分の専門を超える部分は、信頼できる税理士や弁護士におつなぎするようにしています。皆さんにお伝えしたいのは、「1人の専門家に、すべてを求めなくていい」ということです。まずは、相談しやすい窓口から入ってください。それが自治体でも、不動産会社でも、司法書士でも構いません。良い専門家は、自分の手に負えない部分を、適切な専門家へと橋渡ししてくれます。その連携の輪に入ることが、複雑な負動産問題を解きほぐす、いちばんの近道なのです。
まとめ——3つの相談先を使い分け、まず窓口へ
| この記事のポイント |
|---|
| 相談先は自治体・専門業者・専門家の3つに分けて考える |
| 自治体の空き家バンクや補助制度は、思わぬ活用・費用軽減につながる |
| 専門業者は便利だが、法外な手数料を求める悪質業者に注意 |
| 国庫帰属は司法書士等、売却は不動産会社、放棄・争いは弁護士と使い分ける |
| 迷ったら、まず市区町村や法務局の窓口へ。1人で抱え込まないことが解決策 |

宅建士資格保有・不動産業界歴10年以上の現役実務者が監修・運営しています。
売買・法律・税金・開業まで、現場の実務経験をもとに情報を発信しています。


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