不動産営業の給与体系を理解するには、まず「固定給」と「歩合給」の基本的な仕組みを押さえることが必要です。
この2つの組み合わせ方が会社によって大きく異なり、それが月々の手取りを決定します。
「月給25万円+歩合」という求人票の数字が、実際の手取りとどう違うのか。
入社前に知っておかないと、最初の給与明細を見て驚くことになります。
この記事では、固定給と歩合給の仕組みを正直に解説します。

固定給(基本給)の実態
不動産会社の求人票に記載される「固定給」は、多くの場合「みなし残業代込み」の金額です。
例えば「月給25万円(みなし残業40時間含む)」と記載がある場合、純粋な基本給部分は18〜19万円程度になることがあります。
みなし残業の時間を超えて働いた場合は追加で残業代が出るのが法律上の原則ですが、実態として管理が曖昧な会社も存在します。
固定給が低めに設定されている理由は、会社側にとって「歩合が出る月は固定費が低い」というメリットがあるためです。
成果が出ている月は歩合で収入が補われる前提で、固定給を抑えている。
この構造が、歩合が出ない月の「手取りの少なさ」につながり、新人が入社直後に「こんなに少ないのか」と感じる原因のひとつになります。
| 求人票の表記例 | 実態 |
|---|---|
| 月給25万円(みなし残業40時間含む) | 基本給は実質18〜19万円。40時間超の残業代は別途発生(会社による) |
| 月給22万円+歩合 | 歩合が出ない月の手取りは17〜18万円程度になることも |
| 固定給35万円(管理会社・大手) | 歩合なし。安定している代わりに上振れは賞与・昇給のみ |
一方、管理会社や大手デベロッパーの管理部門では、固定給中心の給与体系を採用しているケースが多い。
歩合の上振れはない代わりに、毎月安定した金額が入ります。
「安心の代わりに上限がある」給与体系です。
歩合給の計算方法
歩合給は、成果に応じて支給される変動給です。
不動産仲介の場合、一般的な計算式は「仲介手数料収入(または粗利)の一定割合」です。
例えば、成約した物件の仲介手数料が150万円で、歩合率が20%であれば、その営業マンへの歩合は30万円になります。
「売上ベース」と「粗利ベース」の違い
重要なのは「歩合の計算基準が何か」です。
| 計算基準 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 売上ベース | 仲介手数料の総額を基準にする | 一見高く見えるが、会社側コストは別途かかる |
| 粗利ベース | 手数料から広告費・間接費などを引いた後の利益を基準にする | 計算の元が小さくなるが、歩合率が高めに設定されることも |
同じ歩合率でも基準が異なれば実際の受取額が変わるため、入社前に「何に対する何パーセントか」を具体的な数字で確認することが重要です。
歩合率は会社によって一般的に10〜40%程度の幅があります。
歩合率が高い会社は一見魅力的ですが、固定給が極めて低かったり、成果が出ない月は収入がほぼゼロになるリスクがあります。
「歩合率の高さ」だけで会社を選ぶと、収入の不安定さに苦しむことになります。
【業界の裏側】 歩合率40%の会社が必ずしも稼げるわけではない理由
「歩合率40%!」という求人を見て飛びつく人がいますが、計算基準が粗利ベースの場合、会社が差し引くコストが多ければ、実際に歩合の対象になる粗利が小さくなります。結果として「歩合率15%・売上ベース」の会社のほうが手取りが多いというケースも珍しくありません。入社前に「仲介手数料150万円の案件が決まったとき、私の歩合はいくらになりますか?」と具体的な数字で確認することが、最も確実な判断材料になります。
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給与体系3パターンの比較
不動産会社の給与体系は、大きく3つのパターンに分類できます。
自分の志向と合うパターンを選ぶことが、入社後の満足度につながります。
| パターン | 特徴 | 多い業態 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 低固定+高歩合 | 成果が出れば高収入。出ない月は激減 | 投資用・買取業者・一部売買仲介 | 収入の波を覚悟できる人・高収入志向 |
| 中固定+中歩合 | 安定と成果連動のバランス型 | 売買仲介・分譲マンション販売 | 初心者・バランスを重視する人 |
| 高固定+歩合なし(または小) | 毎月安定。上限は賞与・昇給で決まる | 大手デベロッパー・管理会社・事務職 | 安定重視・専門性でキャリアを積みたい人 |

入社直後の「手取りの少なさ」という現実
多くの新人営業マンが入社後に直面する最初のショックは、「最初の数ヵ月の手取りの少なさ」です。
歩合が出るのは成果が出てから。
最初の1〜3ヵ月は固定給だけで生活することになります。
みなし残業込みの月給24万円という求人で入社しても、社会保険料・所得税・住民税を引くと手取りは17〜18万円程度になります。
一人暮らしで家賃を払うと、月々の生活費がほぼなくなる——この現実に直面して、「もっと稼げると思っていた」という不満が生まれます。
入社前に「最初の数ヵ月は歩合がないことを前提にした生活設計」をしておくことが、初期の精神的安定に直結します。
具体的には、入社前に3〜6ヵ月分の生活費を貯めておくことが理想的です。
【営業マン視点】 入社前に必ず確認すべき給与の3つの数字
不動産会社の面接で「給与について詳しく教えてください」と聞くのは当然の権利です。確認すべき3つの数字があります。①みなし残業は何時間含まれているか(基本給の実額を計算するため)、②歩合の計算式を具体的な金額で教えてほしい(「150万円の仲介手数料が入った場合、私の歩合はいくらになりますか?」と聞く)、③入社1年目の社員の実際の年収の平均値——この3点を確認するだけで、求人票の数字と実態のギャップを大幅に減らせます。
まとめ:給与体系を「自分の目で確認する」習慣を
不動産会社の給与体系は、求人票の数字だけでは実態が見えません。
みなし残業の時間・歩合の計算基準・固定給の実額——これらを入社前に具体的な数字で確認することが、入社後のギャップを防ぐ唯一の方法です。
給与体系のパターン(低固定高歩合・中固定中歩合・高固定低歩合)を理解した上で、自分の生活スタイルと収入への価値観に合う会社を選ぶこと。
これが、不動産業界で「納得して働ける」スタートを切るための最初のステップです。

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