不動産業界に入ったばかりの若手営業マンが直面する「リアルな収入」は、求人票の「年収例」とはかなり異なることが多い。
「未経験から年収500万円も可能!」という求人票の言葉は嘘ではありませんが、それが「入社1年目から」なのか「3〜5年かけて」なのかで、意味がまったく違います。
この記事では、入社1〜3年目の営業マンが実際にどの程度の収入を得ているのかを、職種別・成果別に整理します。
入社前の「収入設計」に役立ててください。

売買仲介:入社1年目の現実
売買仲介の新人が入社1年目に得られる収入は、多くの場合「固定給+数回の小さな歩合」程度です。
首都圏の売買仲介会社に入社した新人の場合、固定給が月22〜28万円、年収ベースでは300〜400万円台が標準的です。
| 状況 | 1年目の年収目安 | 条件 |
|---|---|---|
| 標準的なケース | 300〜400万円台 | 固定給+数件の歩合 |
| 好調なケース | 500万円超 | 繁忙期に賃貸件数を稼いだ、売買を複数件決めたなど |
| 厳しいケース | 固定給のみで終わる | 売買で最初の成約が出るまでに半年以上かかった場合 |
「1年目で年収500万円を超えた」という話も業界には存在します。
その多くは「繁忙期に賃貸で件数を稼いだ」「売買で早期に複数件決めた」「歩合率が高い会社に入った」などの好条件が重なったケースです。
逆に「固定給だけで1年間が終わった」という人も一定数います。
売買仲介で最初の成約が出るまでに半年以上かかることも珍しくない。
この期間を乗り越えられるかどうかが、業界定着の分水嶺になります。
売買仲介:入社2〜3年目の変化
業界に2〜3年いると、知識・人脈・営業スタイルがある程度確立されてきます。
この時期から、成約ペースが安定し始める人が増えます。
売買仲介で年収500〜700万円の水準に到達する人も出てきます。
この時期に重要なのは「紹介の種をまき始めること」です。
過去の顧客に定期的に接触し、「何かあれば連絡してほしい」という関係を維持する。
この習慣が3〜5年後の「紹介が自然に来る状態」につながります。
2〜3年目は「今の稼ぎ」より「3年後の稼ぎのための仕込み」を意識することが、長期的なキャリア形成において重要です。
【業界の裏側】 「2年目の壁」という現象
不動産業界には「2年目の壁」と呼ばれる現象があります。入社1年目は緊張感と新鮮さで動けていた人が、2年目に入ると「慣れ」からくる気の緩みで成約ペースが落ちるケースです。「もう1年いるのにまだこんな収入か」という焦りと「なんとかなるだろう」という慢心が混在する時期です。この時期を乗り越えるには「2〜3年目は仕込みの時期」という意識の切り替えが有効です。今の収入より未来の関係資産を積み上げることに価値があると理解できた人が、4〜5年目に大きく伸びます。
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職種別の年収水準
賃貸仲介営業
賃貸仲介営業の年収は、売買仲介より全体的に低い傾向があります。
件数が多い分、固定給ベースで安定しているケースが多く、繁忙期の歩合を含めた年収で300〜500万円台が標準的です。
大手チェーンの店長クラスになると年収500〜600万円台に達することもありますが、売買仲介の高収入帯と比べると上限が見えやすい。
ただし賃貸仲介は「業界の入口」としての価値が高く、「賃貸で鍛えてから売買に転職する」というキャリアパスを歩む人も多い。
「賃貸でどれだけ稼げるか」より「賃貸で何を身につけるか」という視点が、賃貸仲介の正しい活用法です。
不動産管理会社(フロント・賃貸管理担当)
不動産管理会社のフロント担当・賃貸管理担当の年収は、おおよそ300〜450万円台が標準的です。
歩合が少ない分、安定していますが上限も見えやすい。
宅建士資格を持っている場合、資格手当(月額1〜3万円程度)が加算される会社が多く、資格の有無で年間収入に差が出ます。
不動産事務職
不動産事務職は年収250〜400万円台が多い。
専門性(宅建士・マンション管理士・FP資格など)を高めることで、徐々に給与アップを目指せます。
| 職種 | 1〜3年目の年収目安 | 収入の特徴 |
|---|---|---|
| 売買仲介営業 | 300〜700万円 | 波が大きい。成果次第で大きく変わる |
| 賃貸仲介営業 | 300〜500万円 | 繁忙期に集中。上限が見えやすい |
| 管理会社フロント | 300〜450万円 | 安定。宅建士資格で手当がつく |
| 不動産事務 | 250〜400万円 | 安定。資格取得でステップアップ可 |

入社前にやっておくべき「収入設計」
不動産業界への転職を決めたら、入社前に以下の収入設計をしておくことを強くおすすめします。
- 最初の3〜6ヵ月は歩合ゼロを前提にした生活費を確保する——貯金として3〜6ヵ月分の生活費を持ってから入社する
- 固定給だけの手取りで生活できるか試算する——「月給25万円(みなし残業40時間含む)」の実質手取りは17〜18万円台。それで生活が成り立つか確認する
- 「歩合が出始める時期の目安」を入社前に確認する——「初成約まで平均何ヵ月かかりますか?」という質問を面接で必ずしておく
この3点を確認・準備した上で入社した人は、「最初の辛い時期」を「想定内」として乗り越えられます。
逆に準備なしで入社した人は、最初の給与明細を見た段階で精神的に追い詰められ、早期離職につながりやすくなります。
【営業マン視点】 「最初の成約」が出た瞬間に変わるもの
不動産業界で新人が最初の成約を出した瞬間、何かが変わります。数字が出たという事実より、「自分にもできる」という確信が生まれる。この確信が行動量を維持する土台になります。最初の成約までの期間が長い人ほど、そのときの喜びは大きく、その後の踏ん張り力も強い。逆に「すぐ決まった」人のほうが、2件目・3件目で躓いたときに折れやすいことも多い。最初の成約に時間がかかっても、諦めないことが何より大切です。
まとめ:入社1〜3年目の収入は「準備と覚悟」で変わる
若手営業マンのリアルな収入を整理すると、こうなります。
入社1年目は固定給中心で年収300〜400万円台が標準。
2〜3年目から成約が安定し、500〜700万円台に到達する人が出てくる。
この過程を乗り越えられるかどうかは、事前の準備と「最初の辛い時期を想定内にしておくこと」が大きく影響します。
求人票の「年収例」を鵜呑みにせず、「最初の数ヵ月の現実」から逆算して入社を決める——これが、不動産業界への転職で後悔しないための最も重要な視点です。

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