「不動産営業って、一日どんな仕事をしているの?」
就職・転職を考えている人が最も気になる疑問のひとつです。ドラマや映画のイメージでは、スーツ姿の営業マンが颯爽と物件を案内し、その日のうちに契約が決まる——そんな場面が浮かぶかもしれません。
でも現実は少し違います。物件案内は仕事の一部にすぎず、一日の大半は電話・調査・書類作成・社内連絡に費やされます。華やかな場面の裏側に、地道な積み上げがある。
この記事では、売買仲介営業を例に、リアルな一日の流れを時間軸で紹介します。入社前にここを知っておくだけで、現場への解像度が大きく変わります。

不動産営業(売買仲介)の一日のスケジュール
| 時間帯 | 主な業務 |
|---|---|
| 10:00〜11:00 | 始業・レインズ確認・メール・問い合わせチェック |
| 11:00〜12:00 | 顧客への架電・フォロー連絡・物件調査 |
| 12:00〜13:00 | 昼休憩(外出中の場合はそのまま移動) |
| 13:00〜16:00 | 物件案内・現地調査・商談 |
| 16:00〜18:00 | 書類作成・契約準備・社内報告 |
| 18:00〜 | 夜間の顧客対応・アポ・残業(会社による) |
売買仲介営業の始業は、多くの会社で10〜11時が一般的です(店舗系の賃貸仲介は9〜10時が多い)。夜の顧客対応があるぶん、朝のスタートが遅めに設定されている会社が多いです。
朝のルーティン——情報収集と準備
売買仲介営業の朝は「情報収集」から始まります。まず確認するのがレインズ(不動産流通標準情報システム)です。
前日から新たに登録された物件がないか、価格変更があった物件がないか、成約報告が入ったかどうか——こういった市場情報を毎朝チェックするのは、売買営業の基本中の基本です。レインズを見ずに一日を始める営業マンは、「昨日何が起きたか」を知らないまま顧客対応をすることになります。
次に、メールと問い合わせの確認です。夜間に届いたポータルサイト(SUUMO・アットホームなど)からの問い合わせメール、売主からの連絡、他社からの物件紹介——これらに優先順位をつけます。
反響営業の場合、この「朝のメール確認」が一日の仕事の核心にもなります。問い合わせが入れば、できるだけ早く折り返し電話をかけることが重要で、反応が遅れれば他社に先を越されます。「1時間以内に折り返す」を徹底しているかどうかが、成約率の差に直結します。
午前中——電話と物件調査
午前中は、電話と物件調査に費やされることが多い時間帯です。
電話の内容としては、問い合わせがあった顧客への架電、前日に案内した顧客へのフォロー連絡、売主への進捗連絡などが中心です。この電話の質と量が、そのまま案件数に直結します。
物件調査は、売主から依頼を受けた物件や自社で買取を検討している物件について、登記情報・住宅地図・ハザードマップ・法令上の制限などを調べる作業です。資料を揃えた上で売却価格の根拠を組み立てます。これが査定業務の下準備になります。
また、新しい顧客に送るための物件リストを作成する時間でもあります。顧客の希望条件に合う物件をポータルやレインズから絞り込み、資料をまとめる作業は地味ながら案内につながる重要なステップです。
午後——物件案内と商談
不動産営業の「花形」は、やはり物件案内です。顧客を現地に連れていき、物件の良さを伝え、購入意欲を育てる。この場面が最も「営業力」の差が出るところです。
ただし現実の案内は「ドラマのような場面」ばかりではありません。顧客が「やっぱり違う」と言って帰ってしまうことも多い。希望と現実の乖離を埋める作業が、案内の大部分を占めます。
「お客様の言葉通りの物件」を探すのではなく、「お客様が本当に求めているもの」を引き出す対話力が、ベテラン営業マンの武器です。「駅近・広い・安い」の三拍子は現実には難しい。どこを妥協できるかを自然な会話の中で整理することが、案内の本質です。
商談は、案内後にカフェや事務所で行われることが多い。「今日見た物件の感想」から始まり、資金計画・競合他社との比較・購入タイミングの確認——これらを自然な会話の中で確認していきます。この商談の質が、成約確率を大きく左右します。

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夕方以降——書類作成と夜の顧客対応
夕方からは書類作成・契約準備・社内報告が中心になります。
重要事項説明書・売買契約書の作成は、宅建業法上の義務を伴う重要な書類であり、ミスが許されません。一方で時間的プレッシャーの中で作成しなければならないことも多く、ここでミスが発生するリスクがあります。新人のうちは必ず先輩に確認してもらう習慣をつけることが重要です。
夜は顧客対応の時間でもあります。共働きの夫婦など昼間に連絡が取れない顧客には、夕方以降に電話をかけることが多い。また、契約やローン相談のアポイントを夜に設定することも珍しくありません。
不動産営業の拘束時間は長い。「夜も電話に対応できる体制」が暗黙の了解になっている会社も多く、ここに「プライベートとの境界があいまい」という問題が生まれます。
現場で多い失敗
営業として顧客と良い関係を築こうとするあまり、「いつでも電話してください」と伝えてしまう新人は多い。最初のうちはそれで顧客との関係が深まります。しかし夜の10時に電話がかかってくるようになり、休日に「今すぐ見たい物件がある」と呼び出されるようになる。プライベートがなくなり、疲弊していく。トップ営業マンほど「対応できる時間帯」を最初に伝えるコントロールをしているものです。
賃貸仲介営業の一日は少し違う
ここまで売買仲介を例に解説しましたが、賃貸仲介の一日は少し異なります。
| 項目 | 売買仲介 | 賃貸仲介 |
|---|---|---|
| 始業時間 | 10〜11時が多い | 9〜10時が多い |
| 1日の案内件数 | 1〜2件 | 繁忙期は3〜5件以上 |
| 契約書作成頻度 | 月数件 | 繁忙期は毎日 |
| 電話の量 | 多い | 非常に多い |
| 残業の傾向 | 商談・書類で遅くなる | 繁忙期は深夜になることも |
賃貸仲介の繁忙期(1〜3月)は文字通り「全力疾走」状態です。1日に複数件の案内をこなし、毎日契約書を作成する。この時期に入社した新人は洗礼を受けながら現場を覚えていきます。体力的にはきつい一方で、短期間で大量の経験が積めるという側面もあります。
業界の裏側
不動産営業の「一日」は、会社によって大きく違います。反響型の会社は朝のメール確認が命綱。飛び込み型の会社は午前中から外出してアポを取りに行く。どちらの営業スタイルかによって、一日の動き方がまったく変わります。入社前に「どんな営業スタイルの会社か」を確認しておくと、ミスマッチを防げます。
まとめ
不動産営業の一日は、物件案内だけでなく、電話・調査・書類作成・商談と多岐にわたります。華やかな場面の裏には、地道な積み上げがあります。
この仕事で長く活躍している人に共通しているのは、「地道な部分を丁寧にこなせること」です。朝のレインズ確認、素早い折り返し電話、丁寧な書類作成——こういった日常の積み重ねが、信頼と成果につながっていきます。

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